踊れ。ステップが判らなければ隣をなぞれ。何の踊りかなんて、考えるな。

10月 11th, 2007 by admin

http://semiprivate.cool.ne.jp/blog/archives/000711.html

 大変考えさせられた。
 僕が主に考えさせられたのは、
【2・中毒患者】の節である。
 ここで書いてある事はことごとく合っている。消費者が欲しがっているのは、面白さではない。これは真理だ。何故か? それは面白さは苦痛を伴うからである。書くまでも無く、面白いとは苦痛の果てにある物なのだ。

「頭文字Dとかあファンだけど、文字が多いじゃない?だからマンガでは読まないの」

 これこそが象徴している。本来、面白さを求め、逃避の為に使用するマンガ、10分で読めるマンガでさえも苦痛へと変わる。右から左へ何の問題も無く抜け、直感だけで判断し、それを摂取する。その過程、その道程がおっそろしく簡単なマンガでさえも、文字数が多い事だけで敬遠されてしまう。これが消費者の自由な声。消費者の本来の声である。
 消費者は勝手だ。勝手な事をのべつ幕なしに言う。しかし、それが消費者の権利である。
 じゃあ、それに対処するのに、一体作る側はどうすればいいのか。
 閾値をどれだけ下げても、マンガという極端に閾値の少ないメディアでさえも忌避する相手に、どうやって買わせるのか。
 簡単な事だ。知らせろ。読まずに内容を判らせれば良い。読む前に中身を理解できていれば、読む必要はない。文字が多い? 読みづらい? ナンセンス! 中身が読む前から判ってりゃあ、そんなのはどうという事も無い。読んで貰う事が目的? ナンセンス! 買わせる事が究極的な目的である。少なくとも資本主義においては。
 だから、口コミは売れるのだ。何故って、勝手な人が勝手な判断と勝手な切り口で、でたらめを言って回ってくれるからだ。中身がどうあれ、糊塗し、価値を決めつけ、意図もしないあり方を想像し、タダでブログで書き散らす。
 ネタバレを嫌うなかれ! ネタバレを嫌う権利を有するのは買った人間のみだ。それ以外は豚以下だ。ネタバレを知っていても、豚以下だ。なに? ネタバレを知らないように中身を知りたいだと? 買えばいいじゃねえか。それだけだ。
 つまり、作品にとって重要なのは、知られる事だ。それに尽きる。逆に知られない作品は売れない。話題にあがらない作品は売れない。興味を引かない作品は売れない。選択肢も無く、誰にも知られずただ消えるだけだ。
 作者が「なんかいいよね」を禁止して、何が面白いかを取捨選択した程度では、焼け石に水。売れない。
 何故って消費者という仮想敵は強大だからだ。読まずにつまらないと決めつけ、ちょっと読んでも「読みたくない」とつまらない事にし、たとえ読み切っても「意味がわからなかった」とつまらかった事に出来る。何でも有りのバーリトゥードでも斯くやとばかりのインチキぶりだ。だが、作者に消費者を選ぶ権利など無い。小指の先ほどにも無い。だって消費者は金出すんだぜ。どうやって手に入れたか判らないが、金出すんだぜ。心血灌いで得た清い金か、博奕で稼いだ泡銭かは判らないが、金を気前よく出すんだぜ。
 読む前の作品の出来なんざ、さっぱり判らないんだぜ! たとえ他人から聞いていても、その他人がどれだけ信用できたとて、確率論の問題だ、判ったもんじゃない。でも博奕と思って金出す訳だ。
 で、そのときの理由を考えてください。僕等はオタクだよね、だから監督で見たり、作者で見たりする。しかし、大多数がそうか? 違うよね。そう、隣を見て踊るんだよ。隣の踊りのステップを見るんだよ。
 携帯かもしれない。メールかも。SNSかも。ブログかも。新聞かも。雑誌かも。テレビかも。自分が信じたメディアを信用し、自分に近いとメディアを理解し、踊るんだよ。
 何の踊りかなんて考えるかね? ねえ、お金さえ払えば良い踊りに、どんな踊りかなんて意味が、果して重要かね?
 重要じゃない。ちいっとも重要じゃない。「なんかいいよね」で良いんだよ! それを禁止すべきなのはほんの一握りの矜持を心の礎において、たった一人で群衆相手に愚行を犯そうと考える人間だけでいい。
 踊るしか能のない人間がそんな物で格好付けようなんざ、ナンセンスどころか滑稽だ。隣にステップをきちんと見ろよ。自分の頭の上のハエを追えよ。
 さあ踊ろうぜ、死ぬまで続くこの醜い踊りをよ。
 踊る以外に何か見せ物が出来るなら別だが、如何せん、踊る以外に何か出来る奴なんて少なくとも、こんな日記を読んじゃ居ないだろうぜ。出来るなら、心のままに従えばいい。

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